中耳炎の人が登山に行ってはならない8つの理由
こんにちは、ヒゲもやしです。日中に汗ばむ陽気の日も増え、春の到来を肌で感じるようになりました。植物や動物が活発に動き出す季節ですが、ヒトの活動も活発になります。
特に冬の間、その過酷さから敬遠されがちな登山に関しては、これからの時期がシーズンスタートとも言えるでしょう。そんなわけで今回は、大人特有の悩みでもある、中耳炎と登山の関係性について考えてみたいと思います。
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中耳炎の人が登山に行ってはならない理由
登山、これほど魅力的で、しかも歳を重ねるごとにその面白さが増すスポーツは他には無いでしょう。ヒゲもやしも、アラフォーのおっさんです。例外なく登山の楽しさにはまりつつあります。
どの山に行こうか、どの登山道から入山するか、お昼はどこで…と、わくわくする登山計画にはじまり、装備品の準備、移動、写真、食事、温泉等、登山以外にも楽しむシチュエーションが目白押しです。
喧騒な都会を忘れ、大自然を満喫する登山は、心身をリフレッシュする効果もあります。しかし、時に自然は牙をむき、我々の侵入を拒むこともあります。自然を甘く見ていると、痛い目に合います。そして中耳炎を患っている場合は、VERY HARDモード に突入します。
オラ、中耳炎になっちまったんだが、登山さ 行っでも良が??
登山は複数人で行くのが一般的です。学生時代の友人や、職場の同僚や上司、部下。連絡を取り合って、前もって休日を合わせて計画を立てるので、急な日程変更は困難です。そのため、多少の体調不良を押して、決行してしまうことも多いのではないでしょうか。
検索サイトからこのページに辿りついた貴方、「中耳炎になったんだけど、登山の約束がある、どうしよう? 」と悩んでいるのではないでしょうか?このページのタイトルを見れば一目瞭然ですが、中耳炎を発症している場合は、登山に行ってはなりません。
ちなみに、お医者さんによっては登山を許可してくれるケースもあるでしょう。だからといって軽はずみに登山には行かないでください。登山といっても、そのレベルに雲泥の差があります。
標高差数百メートルのピクニック感覚の登山から、累積の標高差が2千メートルを越すハードな日帰り登山、百名山を立て続けに登頂する泊まりの登山など、様々な登山があります。
富士山一つにとっても、弾丸登山やゼロ合目からの完全登頂、コースタイムの半分を狙うなど、レベルは様々です。医師の考える「登山」と、あなたの考える「登山」が一致するとは限りません。
大丈夫、山は逃げません。歳を重ねてもそれは変わりません。今は治療に専念して下さい。どうしても登山に行きたい!とお考えの方は、以下にピックアップする8つの理由をお読み下さい。きっと考えが変わるはずですよ。
① 気圧差によって中耳や鼓膜を痛めてしまう
これは、スキー・スノーボードに行ってはならない6つの理由で述べた理由の一つでもあります。標高が高くなり気圧が下がると、ペットボトル容器やポテトチップスの袋などは、膨らみます。これと同じ現象が中耳でも起こります。
健康な状態ならば、中耳の空気が耳管を通って排出され、中耳と外気の気圧差が保たれます。これは無意識に行われることもあれば、ツバを飲んだりして意識的に行うこともあります。
中耳炎を発症していると、耳管の機能が低下しているケースが多く、中耳の気圧差を調整することが困難になります。このような場合、標高が上がるにつれて中耳の気圧が高まり、痛みが発生します。こうなると登山どころではないですよね。
実は私自身、中耳炎を発症中に、遠出のついでに計画外の軽い登山の類いに行ったことがあります(駄目な大人の見本です)。もちろん服装も靴も普段着で、装備品も無く、ピクニック感覚で入山してしまいました。思いのほか急勾配であったため、短時間で標高が上がったせいか、切開した鼓膜からプスッープスッーと空気が抜ける体験をしました。
そのときは、登山を中止し事なきを得ましたが、あのまま登山していたらと思うと、ぞっとします。
② 寒暖差アレルギーにより鼻水が出やすい
これも、スキー・スノーボード編で出ています。登山は、短時間で標高や地形、天候が変わります。勾配が急で息が荒くなり体温が上昇したと思ったら、風の抜ける稜線に出て、体温が急激に下がる、なんて事も珍しくありません。
このように体温の変化が繰り返し起こると、寒暖差アレルギーと呼ばれる症状が起きます。血管運動性鼻炎とも呼ばれるのですが、短い間におこる急激な温度変化は、鼻の自律神経の働きを崩します。それによって鼻水が止まらないなどの鼻炎症状を引き起こします。
鼻炎症状は、中耳炎の回復を遅らせ、場合によっては悪化させてしまいます。これは耳管の機能が低下してしまうためです。
③ 聴力の低下によって、危機を回避できなくなる
登山において、音は非常に重要な感覚です。緊急放送や落石の掛け声、落雷の音、土砂崩れの音、獣の泣き声、遭難時の呼び声、などなど、命に関わるような各種警告を、音を通して判断するケースが多いからです。
中耳炎を発症中は、聴力が低下することが多く、上述した危機を回避できなくなることも考えられます。特に命に関わる危機もあるため、重要な要素となります。
④ 三半規管の機能低下によって事故を起こしやすい
これも、スキー・スノーボード編で出ていますね。中耳炎を発症中は、三半規管の機能が低下することがあります。これは三半規管が中耳に近い位置にあるからなのですが、三半器官はバランス感覚や平衡感覚を司る器官です。
登山中は、不安定な足場が続いたり、鎖場や梯子を使う場面、稜線や尾根などの一歩踏み外すと滑落する危険のある場面など、平衡感覚が重要になるシーンが発生します。
ただでさえ、気の抜けない悪路が連続するのが登山ですので、平衡感覚に異常をきたした状態での登山ほど、正気の沙汰とは思えない行動はありません。
半分まできました。さらに4つ理由があります。
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⑤ 複数行動が鉄則のため、グループに迷惑を掛ける
スキーやスノーボードならば、体調不良の場合に一人食堂で待機することができますが、登山の場合、そうは行きません。なぜならば、単独行動はNGだからです。
グループの一員に体調不良を訴える者が居る場合は、全員または複数人に分かれて休憩したり、登山を中止したりするのが、ルールです。
単独での下山やルート変更は遭難の恐れもあるために、絶対に止めてください。体調不良になるリスクが事前に分かっている場合は、登山への参加を中止すべきです。これは登山におけるおきてです。
⑥ 高山病の発症率が上がる
高山病は標高2千メートルを超える登山においては、無視できない症状です。命の危険も伴いますが、何より、これをすれば絶対高山病にならないといったものがないため、誰もが高山病になる恐れがあります。
ヒマラヤを何十回も登頂しているシェルパでさえも、高山病を起こすことさえあると言われています。高山病になったことがないから大丈夫と油断していると、いつか痛い目に合います。
高山病は、不眠や体調不調も原因しているとされていますが、中耳炎のような病気を患っていることも原因の一つになり得ます。
高山病にかかると、早期の回復は困難で、計画の変更を余儀なくされる事が往々にしてあります。中耳炎の場合は高山病なるかもしれない、と考えておくほうが安全でしょう。
⑦ 医師の手当てが受けにくい
当たり前の話ですが、登山は人里離れた山で行うのが一般的です。そのため何かあってもすぐに医師の診察を受けることは困難です。夏山シーズン中の富士山のように山小屋に医師が常駐する山は、例外と言っていいでしょう。
中耳炎だけでなく、その他の事故も、専門家による応急手当を受ける事が非常に困難です。そのため、事故に繋がるリスクはできるかぎり排除すべきです。
⑧ 下山後にも数々の誘惑がある
無事に下山してからも安心は出来ません。下山後の温泉、ビール…想像しただけでも、ぷはぁーと声が出てしまいます。しかし、疲れた身体に染み渡るこれらの誘惑は、中耳炎にとっては天敵です。
なぜ天敵なのかは以前に書いていますので、詳細は割愛しますが、入浴によるリスク、アルコールの与える影響を考慮すると、中耳炎の発症中は避けるべきなのです。
登山よりも、下山後の温泉やビールを目的にしている輩もいるでしょう(自分もね)。そうなると下山後の楽しみを断ることは不可能です(きっぱり)。よくわかります。ですので、登山そのものを中止しましょう。そのほうが簡単ですよね。
まとめ
おさらいです。中耳炎の人が登山に行ってはならない8つの理由です。
① 気圧差によって中耳や鼓膜を痛めてしまう
② 寒暖差アレルギーにより鼻水が出やすい
③ 聴力の低下によって、危機を回避できなくなる
④ 三半規管の機能低下によって事故を起こしやすい
⑤ 複数行動が鉄則のため、グループに迷惑を掛ける
⑥ 高山病の発生率が上がる
⑦ 医師の手当てが受けにくい
⑧ 下山後にも数々の誘惑がある
思いの外、長文になってしまいました。しかしここまで読んで、やっぱり登山にいこう!なんて思うアホな方は、いないでしょう。
今は中耳炎の治療に専念して下さい。ちなみにヒゲもやしが登山を再開したのは、完治宣言から1ヵ月後でした。みなさん、登山は万全の態勢で望んで下さいね!
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