中耳炎の人がダイビングに行ってはならない8つの理由
2016/05/16
こんにちは、ヒゲもやしです。「中耳炎の人が~してはならない」シリーズも回数を重ね、新しくカテゴリにしてもいいのではないかと目論んでいる今日この頃です。そんな今回のテーマはスキューバダイビングです。
ヒゲもやしがダイビング?と疑う方もいるでしょうが、わたくし、列記としたダイバーです。ライセンス(PADI)を取得してから10年以上が経過し、ダイブ本数も100本を超えた、色白ひげダイバーです。
メインで潜る場所は伊豆半島。東伊豆はIOP、西伊豆は大瀬崎、と言った感じのメジャースポットを愛する日帰り首都圏ミーハーダイバーでもあります。
海外でのダイブ経験もありますが本数は少なく、伊豆グリーンと呼ばれる緑の海を愛するストイックダイバーです(最近はログ付けしなくなった“不良”ダイバーでもあります)。
そんな海を愛して止まない私は、中耳炎を発症してから1年が経ちますが、依然としてダイビングには行っておりません。それでは、中耳炎の人がダイビングに行ってはならない理由を考えてみましょう。
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中耳炎の人がダイビングに行ってはならない理由を考える
ダイビングは魅力的なスポーツでもありレジャーでもあります。これほど非日常を味わうことのできる遊びは他にはありません。重力の束縛から離れ、優雅に海中散歩を楽しむだけでなく、フィッシュウォッチングも楽しむことができます。
デジタルカメラの普及によって、ダイビングがより一層楽しくなったという方も多いでしょう、私もその一人です。マンネリ感が否めなかった時期でしたので、ダイビングが180度変わったのを覚えています。
ダイビングは陸上でもイベントが目白押しです。冷えた身体を温めてくれるお風呂や温泉(入ったら出られない)、会話の弾む昼食(カップラーメンをすするだけ)、日焼け(何を目指しているんだ)、一日の集大成とも言えるログ付け(やってないけど)、楽しいことばかりです。
そんな大好きなダイビング、中耳炎を発症しても行きたいですか?止めるべきか迷っていませんか?このページに辿り着いた方の多くが、中耳炎を発症したタイバーの方と思います。
ダイビングを中止すべきか迷っている中耳炎患者の方は、以下をお読み下さい。ダイビングに行ってはいけない理由を列挙しています。必ず考えが変わると思いますよ!
① 潜行時に耳抜きできない
鼓膜は圧力の変化に敏感な器官であり、水深が下がることによって生じる水圧の影響を一番最初に感じる部分です。深く潜るほど鼓膜が中に押し込まれるため、圧迫感から痛みに変わります。この現象をスクイズと言います。
この痛みを解消するのが耳抜きです。スキューバダイビングをする上で基本中の基本と言える動作です。鼻をつまみながら鼻腔の圧力を高めることによって、耳管を通して中耳に空気を送り込み、”中”の圧力を高めることで、鼓膜が圧迫されるのを防ぎます(バルサルバ法)。唾を飲み込む動作でも耳抜きできます(トインビー法)。
中耳炎を患っていると、耳管の機能が低下しているケースが多く、耳管を通して中耳に空気を送り込むことが困難になります。そのため潜れば潜るほど耳が痛いということになります。
最悪の場合、鼓膜を損傷してしまったり、パニックに陥って水中でレギュレータを外してしまったり、急速浮上してしまったりと命の危険に関わることが考えられます。
② 浮上時に耳抜きできない
浮上時も鼓膜にストレスがかかります。上昇することによって水圧が下がり、中耳内の空気が膨張します。通常ならば、耳管から空気が自然と抜けていくのですが、中耳炎を患っていると、耳管の機能が低下しているため、空気が抜けにくいことがあります。
このような状況をリバースブロックといい、耳の痛みだけでなく、頭痛や吐き気を感じることもあります。パニックになって急速浮上してしまうことも考えられます。
いずれにせよ、危険な状況なので、①と同様に注意する必要があります。
③ 鼓膜切開した場合、鼓膜が損傷しやすい
中耳炎の治療過程で鼓膜切開を行うことがあります。切開といっても、鼓膜は自然に再生するので、急性中耳炎の処置として幅広く行われています。
鼓膜切開した直後にダイビングをする人はさすがにいないと思いますが(絶対にダメだぞ!)、鼓膜が再生すれば行っていいのかと聞かれれば、それもNGです。
鼓膜の完全な再生には2~3週間必要とも言われていて、個人差にもよりますが、思った以上に期間を要します。
鼓膜の切開直後に耳抜きすると鼓膜からプスップスッと空気が抜けるのがわかりますが(真似しないでね)、この現象が無くなれば再生完了と思わないでください。耳垂れによって切開した鼓膜が固化していたり、かさぶたが形成されているために、切開した穴が塞がっているように思われるだけのケースがあります。
このようなケースを完治と勘違いしてダイビングをしてしまうと、耳抜きという動作を繰り返し行う中で、鼓膜にストレスがかり、再生しかけていた鼓膜に再び穴が空くことも有り得ます。
「水中で鼓膜に穴があく」というのは考えただけでも恐ろしいですが、中耳に体温よりも温度が低い海水が浸入すると三半規管の機能が低下し、めまいのような症状を起こします。水中でめまいを起こした経験はありませんが、恐ろしすぎます。
自分の命だけでなく、バディの命も危険にさらすことになるので、絶対に止めましょう!
ちなみに、耳抜きの妨げになる耳栓の使用は厳禁ですので、耳栓で対処しようなんて思わないで下さい。また、「ダイビング用の耳栓」なる物が販売されていますが、これはダイビング時の圧力変化を和らげるための器具であり、耳に水がはいるのを防ぐものではありません。ご注意ください。
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④ 聴力の低下によって、危機を回避できなくなる
ダイビング中は聴力も重要です。もちろん地上とは違って水中での聞こえる範囲は限れられしまいますが、無視できない要素です。
フラッグベルやダイビングベルとも言いますが、水中で鳴らすことの出来るベルによって、水中でコミュニケーションをとる事があります。
複数人での潜水が鉄則とはいえ、海の中でお互いを見つめ合っていても面白くありません。個人個人好きな方向を見たり、散開しますよね。
そのような中で、集合したい場合に上述の手段で音を発生させて、メンバーが集合したりします。水中では音の発生源の位置がわかににくいので、どこで鳴っているか分からないことが多いのですが、音が聞こえればあたりを見回す動作をとるようにしているダイバーが多いので、すぐに集合することができます。
ファンダイブでは海中生物を発見した場合や、進行方向を変える場合、浮上する場合等に音で合図するケースが多いですが、危険生物の接近を知らせる場合や、ダイビング機器の異常を発見した場合、体調の異常を感じた場合等、危険なシーンでも使用されることを忘れてはなりません。
ダイビングベルならば比較的音は聞こえやすいですが、背負っているタンクを金属棒で叩いて知らせることもあります。そのような場合は聞き逃すことも十分に有り得ます。
また、船のスクリュー音もダイバーにとっては危険を知らせる音となります。音に気付かず浮上してしまい船舶と接触することは大事故に繋がりかねません。
陸上でも聴力は重要です。船舶の接近や危険生物の接近、津波等の災害を警告する際に音が使われるからです。この点のリスクも忘れてはなりません。
中耳炎を発症中は、聴力が低下することが多いため、これらのリスクを抱えた状態で潜水することになってしまうのです。
⑤ 鼻水が出やすい
ダイビングは、短時間で周囲の温度が変わります。陸上ではウェットスーツを着た状態で重機材を背負い行動しますので、夏には汗だくになります。そして夏とは言え、水温は20度台ですので、急激な温度変化が待っています。水深が深まればさらに温度が低下します。
このように体温の変化が繰り返し起こると、寒暖差アレルギーと呼ばれる症状が起きます。血管運動性鼻炎とも言いますが、このような温度変化は、鼻の自律神経の働きを乱します。それによって鼻水が止まらないなどの鼻炎症状を引き起こします。
水面に浮上した際に、その暖かさからほっとする人もいるのではないでしょうか。ダイビングは温度変化との闘いでもあります。
水面から上がったときに、大量の鼻水が出ることがありますが、これは上記が原因のひとつです。そして鼻炎症状は、中耳炎の回復を遅らせたり、悪化させてたりすることがあるのです。
スキー・スノーボードに行ってはならない編、登山に行ってはならない編でも出ている理由でもあります。以降も同じような理由が続きます。
⑥ 三半規管の機能低下によって事故を起こしやすい
三半規管は中耳に近い位置にあるために、中耳炎を発症していると、三半規管の機能が低下するケースがあります。三半器官はバランス感覚や平衡感覚を司る器官であり、人間が行動する上で、とても重要な器官です。
エントリー時やエキジット時は、重機材を装備して不安定な足場を歩きます。岩でごつごつしていたり、コケが生えていて滑りやすかったりと、気を抜けないシーンでもあります。特にエキジット時は疲れもピークとなっているために、余計にふらつきやすくなっています。このような時は三半規管は重要な役割を果たします。
水中でも平衡感覚は必要です。中性浮力をとったり、視界が悪い中での上下の認識等がその代表的なシーンです。また、三半規管が弱っていると、船酔いや波酔いをしやすくなります。
ただでさえ、危険を伴うダイビングですので、平衡感覚に異常をきたした状態でのダイブほど、正気の沙汰とは思えない行動はありません。
⑦ 複数行動が鉄則のため、グループに迷惑を掛ける
ダイビングは単独では行いません。複数人で行うのが原則です。陸上でも水中でも集団行動です。浮上時の速度や、水面休息の時間など、行動の和を乱すことは危険な行為です。
体調不良を隠してダイビングに参加することは、グループに迷惑を掛けるだけでなく、減圧症のリスクにさらすことにもなります。
海外や離島でダイビングを行う場合は飛行機による移動も発生します。潜水後、飛行機に搭乗するまでの時間はダイビングコンピュータが計算してくれますが、体調は考慮してくれません。
一人だけ減圧しきれていなかった…何てこともあるかもしれません。もとより飛行機は中耳にストレスを与える乗り物ですので、中耳炎を患っている場合は避けるべきです。
ダイビングは健康な状態で行いましょう。これな最低限のルールです。
⑧ ダイビング後にも数々の誘惑がある
ダイビング後の疲れた身体は、温泉とビールを欲しています。どちらも火照った身体に染み渡ります。しかしこの2つのどちらも中耳炎にとって天敵です。なぜ天敵なのかは以前に説明しているので、ここでは割愛します。
ダイビングよりもその後の温泉や飲酒を目的としている方もいるでしょう。ダイビング後の楽しみを我慢する事は拷問とも言えます(そこまで言うか)。いっそのことダイビングそのものに行かないほうが良いでしょう。
まとめ
おさらいしましょう。中耳炎の人がダイビングに行ってはならない8つの理由です。
① 潜行時に耳抜きできない
② 浮上時に耳抜きできない
③ 鼓膜切開している場合、鼓膜が破れやすい
④ 聴力の低下によって、危機を回避できなくなる
⑤ 鼻水が出やすい
⑥ 三半規管の機能低下によって事故を起こしやすい
⑦ 複数行動が鉄則のため、グループに迷惑を掛ける
⑧ ダイビング後にも数々の誘惑がある
ダイビングショップのツアーに申し込んでしまったあなた、大丈夫、海は逃げません!健康な状態になってからダイビングに行きましょう!お金を払うのはこちらです。参加の決定権はこちらにあるんです!
ダイブクルーズに参加中のあなた、不運としか言いようがありません。そんなことってあるんですね。潔くあきらめてください!
ダイビングを職業にされているあなた、休職しましょう。難聴や減圧症などの後遺症リスクを背負うだけでなく、お客様であるツアー参加者を危険にさらしてしまうかもしれません。ショップのオーナーに相談すれば理解を示してくれるはずです。
さて、私は中耳炎が完治してから1年経過しました。今年はダイビングに復帰予定ですので、そのレポートは今度にでも。
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