皆いつかは中耳炎になる?世代別の発症率を調べてみた
2015/05/09
こんにちは、ヒゲもやしです。
当サイトではこれまでに、中耳炎に関連する各種数値を調査してきました。中耳炎を発症しやすい年齢、季節、都道府県に始まり、通院回数、入院期間、治療期間等、中にはマニアックすぎてアクセスの全く無いページもあったりします(悲しい…)。
中耳炎を発症しやすいかどうかを判断するために、ある時点における総人口に対する中耳炎患者の割合「有病率」を使用していました。今回は見方を変えて、ある一定期間における中耳炎を発症する確率、つまり発症率はどれくらいなのかを計算したいと思います。
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中耳炎の発症率
聞きなれない言葉ですが、病気にかかることを罹患(りかん)といいます。そして病気の発症率、発生率を罹患率といいます。さらに、ある一定期間における罹患率を累積罹患率といいます。
累積罹患率は、ある一定期間における傷病の発生率を示しており、いわゆる「リスク」を表すことのできる指標となります。
中耳炎の発症のしやすさを考える上で、発症率や発生率といった言葉を用いることが多いですが、要はリスクがどれくらいなのかを知りたいので、累積罹患率を計算することで、発症のしやすさを指標化できるのではないでしょうか。
累積罹患率の計算方法
累積罹患率は以下の計算式で算出可能です。
累積罹患率 = 一定観察期間内の新患者発生数 / 観察開始時点での人口集団の人数
式は簡単ですが、そう簡単に算出することはできません。ある一定期間における中耳炎の発症を追跡調査した公の調査結果は無いからです(と思う)。
厚生労働省が3年毎に実施している患者調査は、ある時点における調査結果なので、この式に当てはめることはできません。
個人の頑張りで、中耳炎の累積罹患率を計算するのは難しいようです。ぐぬぬっ…
患者調査から発症率を計算する
厚生労働省が実施する患者調査から、発症率を求めることはできないのか、考えてみました。かなり強引ですが、発症率を求める方法がありました!やったね!
今回は年齢階級における発症率を計算してみます。一例を挙げると、30歳から34歳になるまでの5年間で中耳炎を発症する確率はどれくらいなのか、といった具合です。
こういう確率の計算では、反対の事象の確率を求めた上で1からその値を差し引くという手法が用いられます。つまり30歳からの5年間で一度も中耳炎を発症しない確率を計算し、1から差し引くことで、中耳炎を発症する確率を求めることが出来るのです。
(30歳からの5年間で一度も中耳炎を発症しない確率)は、(1-30歳の年間中耳炎患者数/30歳の人口総数) × (1-31歳の年間中耳炎患者数/31歳の人口総数) × … × (1-34歳の年間中耳炎患者数/34歳の人口総数)でほぼ算出可能です。
中耳炎の年間患者数は、患者調査の結果から推測します。以前、中耳炎の治療に必要な日数を計算したことがありますが、その治療日数を元に、年間患者数を推測します。つまり年間患者数=365日×総患者数(※ある1日時点での患者数)/平均治療日数 です。
患者調査の集計結果は、年齢毎ではなく年齢階級毎なので、(年間の年齢階級毎の中耳炎を発症しない率)を5乗することで、5年間中耳炎を発症しない率を算出可能です。
数学的にも突っ込みどころが多いかと思いますが、ご容赦下さい♪
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例) 30歳から34歳までの中耳炎発症率
例として30歳から34歳までの5年間の中耳炎発症率を計算してみましょう。元にするデータは平成23年度の患者調査、および人口推計を使用します。
30歳から34歳までの中耳炎の総患者数は5千人、平均治療期間は25日です。これから、年間の患者数=365日×5千人/25日=73千人です。
30歳から34歳の人口は8,320千人なので、年間の中耳炎発症率=73千人/8,320千人=0.00877です。
発症しない確率=1-0.00877=0.99123なので、これを5乗することで、5年間中耳炎を発症しない確率となります。30歳から34歳の5年間で中耳炎を発症しない確率=0.99123^5=0.957
よって、30歳から34歳の5年間で中耳炎を発症する確率=1-0.957=0.043=4.3%です。
4.3%です。いい線いってるのではないでしょうか!
この数値は各種統計データから推測される数値なので、実際に中耳炎を発症する確率ではありません。また、再発等も考慮に入れず、かなり強引に計算しているので、突っ込みどころが多々あるかと思いますが、そんなに解離した数値ではないと思っています!
年齢階級別の中耳炎の発症率
男女別に算出した結果がこちらです。5年間で中耳炎を発症する確率を、年齢階級別に計算しています。
年齢階級 | 男性 | 女性 |
0~4 | 71.8% | 69.6% |
5~9 | 42.2% | 37.9% |
10~14 | 6.0% | 12.8% |
15~19 | 13.8% | 6.0% |
20~24 | 13.3% | 11.2% |
25~29 | 1.8% | 4.2% |
30~34 | 3.3% | 7.8% |
35~39 | 3.6% | 7.4% |
40~44 | 2.6% | 2.9% |
45~49 | 3.9% | 4.3% |
50~54 | 3.0% | 4.1% |
55~59 | 4.0% | 3.7% |
60~64 | 3.2% | 8.3% |
65~69 | 8.1% | 11.1% |
70~74 | 4.5% | 4.0% |
75~79 | 5.7% | 8.8% |
80~84 | 9.1% | 5.3% |
85~89 | 15.3% | 9.5% |
90歳以上 | 19.5% | 5.5% |
乳幼児の発症率はかなり高いですね。反対に30代、40代は5%前後です。大人の中耳炎は珍しいと思われていますが、5%なのでそれほど珍しい病気ではないと言えます。よかった!
生涯における中耳炎の発症率も計算してみました。
男性:95.5 %
女性:94.4 %
いやぁ、ほとんどの方が中耳炎を経験するんですね。
ついでに、成人以降の中耳炎の発症率も計算してみました。
男性:65.7 %
女性:64.0 %
大半の方は大人になっても中耳炎を経験するようです、驚き!
まとめ
中耳炎の発症率を計算したところ、以下のことが分かりました。
・0~4歳の間に中耳炎を発症する確率は約70%
・30代,40代の大人が5年間で中耳炎を発症する確率は5%前後
・生涯の中耳炎発症率は約95%
・成人以降の中耳炎発症率は約65%
統計データを基に算出した推測値です。実際の値ではありませんのでご注意下さいね。
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